6月21日に開かれた三菱商事の株主総会にて、一部の株主が参加した見返りとして水やお土産を求めた。また別企業の株主総会では、菓子パンを求める声が上がった――という目撃談が、SNSでにわかに話題になった。
これらは株主総会の本旨から逸脱した要求である。加えて、株主の質問は回数が限られているため、他の株主や経営陣が本来の議題に集中できなくなるリスクもある。株主として望ましい行動とは言いがたい。
このような事象が発生してしまった一因に「投資単位の引き下げ」があると筆者は考える。政府が推進する「貯蓄から投資」の流れは、上場企業にとっては追い風に働くかもしれない。しかし、一定のリスクも伴うのだ。
まず、株式分割とはどのようなものか。株式分割は企業が既存の株式を一定の割合で分割することで、株価を下げ、株式の流動性を高めることを目的として行われる。これにより、個人投資家が株式を購入しやすくなるため、株主層の拡大が期待されるといわれる。しかし、近年では、安易な株式分割が企業経営にもたらすデメリットも表面化してきた。
米バークシャー・ハサウェイ創業者で、投資の神様との異名をもつウォーレン・バフェットは、株式分割に対して否定的なスタンスで一貫している。彼の経営するバークシャー・ハサウェイのクラスA株(議決権がある株式)については、これまで一度も分割を行ったことがない。同株式の値段は1株約66万ドル、日本円にして1億円を超える(7月19日時点)。
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