「死んでくださーい」というSNSでの暴言で、タレントのフワちゃんが活動休止に追い込まれた。
ただ、有名人ということでここまで大騒ぎになっているものの、現実に目を向ければ「死ね」という言葉は家庭、教育現場、職場といったクローズドな環境で使われている現状がある。
例えば、フワちゃんが炎上する直前の8月2日、大阪府堺市は消防局勤務の35歳男性職員が新人に対して「死ね」「殺すぞ」などの暴言を繰り返していたとして、減俸2カ月の懲戒処分にしたと発表した。
この男性職員はヒアリングに対して、「コミュニケーションのつもりだった。ウケると思っていた」「関係性もできていると思い受け入れられていると誤認していた」と答えたという。
そう聞くと「ウチの部長がまんまこんな感じ」なんて大きくうなずいている人も多いのではないか。自分のことを「トークがイケてて面白い」と勘違いしたおじさん上司が、バラエティー番組の大物司会者ばりに後輩や部下を乱暴にイジり倒すというのは、ビジネスパーソンならよく見かける日常風景だろう。
その実態がうかがえる調査がある。弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイト「ベンナビ労働問題」を運営するアシロ(東京都新宿区)が2024年2月、18〜29歳のビジネスパーソン3000人を対象に実施した「パワーハラスメント」に関するインターネット調査によると、自身または他者がされたパワハラの中身で最も多いのは「暴言・侮辱・大声で怒鳴る」(1171人)だった。なんと確認されたパワハラの65%を占めていたのである。
今、フワちゃんはネットやSNSで「非常識」「あり得ない」などとボロカスに吊(つる)し上げられているが、実はパワハラ界を見ると、わりと頻繁に見かける姿なのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング