総務専門の雑誌『月間総務』の調査から、総務が利用を促したい福利厚生と、現場の利用実態に差があることが分かった。
総務が利用促進したい福利厚生の1位は「両立支援(育児・介護)」(34.2%)だった。以降「リスキリング・キャリア開発」(29.4%)、「ウェルビーイング・健康経営」(26.8%)と続いた。総務は、従業員の生活やキャリアをサポートする取り組みを重視しているようだ。
では、従業員はどのような福利厚生を支持しているのか? また、総務が福利厚生関連で感じている課題についても調査した。
利用率の高い福利厚生は「休暇」が32.5%で最も多く、「両立支援(育児・介護)」が30.7%、「余暇・レクリエーション」が24.7%という結果だった。
「両立支援(育児・介護)」は総務の推奨度が34.2%と最も高い一方で、実際の利用率は30.7%にとどまっている。同様に「リスキリング・キャリア開発」は総務の29.4%が推奨するものの、利用率は13.9%と大きな差がみられた。「ウェルビーイング・健康経営」も推奨度26.8%に対して利用率は8.7%と低く、推奨される施策が必ずしも高い利用率につながっているわけではない現状が浮き彫りになった。
月刊総務の豊田健一氏は、結果に対し「利用を促進したい施策としては『両立支援(育児・介護)』『リスキリング・キャリア開発』『自己啓発』が上位に挙げられた。かつて主流だった『余暇・レクリエーション』『住宅』といった、いわゆる『ハコモノ』から従業員のライフスタイルに合わせた『ヒトモノ』にシフトしている。特に両立支援は利用率も高く、今後注力する企業が増えるだろう」とコメントした。
福利厚生の見直し頻度については、23.8%が「毎年」としており、最多の回答となった。2位は「2〜3年に1度」(20.3%)、3位は「4〜5年に1度」(19.9%)だった。一方、3割は「見直しはしていない」(29.0%)ことも明らかになった。
制度の見直しをするきっかけは、61.0%が「働き方の変化」を挙げた。以降「社会情勢の変化」(51.2%)、「従業員からの要望」(46.3%)と続いた。近年のリモートワークの普及などが見直しに影響していると考えられる。
制度導入や運用において現在直面している課題についても調査した。最も多く挙げられたのは「コストの増大」で45.9%だった。2位は「利用制度の偏り」(36.8%)、3位は「利用率の低さ」(34.2%)となった。福利厚生の効果的な運用には、コスト面や利用状況に課題があることが明らかになった。
豊田氏は「福利厚生制度の持続的な運用を目指すためには、コスト面での最適化と従業員ニーズに即した施策の見直しが不可欠。総務がコンダクターとなり、経営の意図や従業員のニーズを吸い上げてバランスの良い制度設計をすることで、従業員の満足度と生産性の向上が期待され、企業の成長を支える重要な基盤となる」とコメントした。
調査は、月刊総務の読者と「月刊総務オンライン」メルマガ登録者などを対象にインターネットで実施した。期間は8月7〜19日、有効回答数は231件。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング