2025年1月より、米Amazon.comが、原則出社に舵を切る。すでに投資銀行などが、原則出社としていたが、いよいよGAFAMの一角が原則出社となる。その方針から退職者は一定出るかもしれないが、アマゾンのように採用力のある会社であれば、新たに採用することで事なきを得るのではないか。
一方で、人手不足のわが国においては、一度退職者を出してしまうと、なかなか補充できない。よって、原則出社のような思い切った選択を取りづらい。ただ、働き方の選択肢は増やしておいた方が、働きやすさやリスク管理の点でも良いように思う。オフィスもあり、在宅もある。働き方の多様化は不可逆になっていくだろう。
と言いつつ、引き続き「出社したくなるオフィス」が従業員に求められていることは自明だ。コロナ禍前は、米国の西海岸風オフィスがトレンドになり、どこも似たり寄ったり。流行のイケてるオフィスを作りたいという「相対軸」のオフィス構築であった。
しかし、コロナ禍を経て、出社したくなるオフィスを構築しようというムーブメントや採用の観点から、求心力を高める上でも、各社独自のオフィスを考えるように変化してきた。「絶対軸」としてのオフィス構築である。
では、この絶対軸という観点となると、何がキーワードになるのだろうか?
絶対軸とはユニークさ、つまり「その企業らしさを追求する、独自色を持ったオフィス」ということになるのではないだろうか。この「らしさ」、これが今回のテーマである。
オフィス構築における絶対軸として「企業らしさ」は必要になるが、その前にも押さえておくべき「らしさ」は存在する。企業らしさを含む、以下5つの観点が重要だ。
この5つの観点が、どのようにオフィス構築に反映されているのか。まず「人間らしさ」から考えていこう。
そもそも、人類、ホモサピエンスは数十万年の間、岩陰、洞穴、木陰で暮らしてきた。公園の大きな木の木陰に人が集まるように、自然は人に癒(いや)しを与える。この「人間らしさ」を実現するのが、バイオフィリックデザインである。
観葉植物を配置して、自然音を流す、良い香りのアロマを焚く、ブラインドは閉めずに外光をたっぷりと取り入れる。自然に触れ合う公園のようなオフィスを指す。木の什器(じゅうき)をふんだんに配置する企業も多い。オフィス内の緑色の適正値、緑視率は15%前後であるが、木視率、木の適正値は40%前後だ。そのような配置を目指して、観葉植物と木目の什器が配置されている。
最も、効果があると言われているのが、日光である。ブラインドを設置せず、日が差す時間帯を避けるように、窓際に縁側を作り、日が陰ってから仕事ができるようにしているところもある。まずは「人間らしさ」、自然とのふれあいのあるオフィスとなる。
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