社員の自律的協業を促すタレントコラボレーションプラットフォーム「Beatrust」を手掛けるBeatrust(東京都港区)は、同プラットフォームの新機能として、生成AIを活用したスキルサーチ機能「Beatrust Scout」(スカウト)と「Tag Extraction」(タグ抽出機能)の提供を開始した。新機能により、最適な人材マッチングと社内の人材情報の可視化をさせる。原邦雄CEOは「従業員がどのようなスキルを持っているのかを可視化して、生成AIによって紐付けることで、人的資本は最大化できる」と話す。
同社が11月14日に開いた記者発表会で、HRエグゼクティブコンソーシアムの楠田祐代表は「日本企業の経営課題の一つとしてイノベーションが起きないことが挙げられます」と指摘した。
「20世紀の経済学者シュンペーターが『イノベーションは(新しいものごとを導入したり創造したり、組み合わせたことのないもの同士を組み合わせたりする)新結合だ』と言いました。ところが日本企業では、それぞれにアイデアやスキルを持っていても、事業部を横断して人材がつながることが少ないのです」(楠田代表)
企業の成長と競争力を左右する鍵は、人的資本の効果的な活用といわれていても、多くの企業が社員のスキルや経験を体系的に把握できていないのが現状だ。適所適材への配置には、大きな課題を抱えている。
「人的資本経営で本当に重要なのは、企業側が社員の強み、スキル、マインドセットなどをきちんと把握し、適所適材で重要な戦略を遂行していくことです。そのためには、従業員がどのようなスキルや経験を持っているのかを可視化することが求められています」(原CEO)
だが従来の手法では、社員のスキル情報が一元化されず、部署間での情報共有も十分にいくことは多くない。その結果、企業内に眠っている優秀な人材を発掘するのが難しい状況が続いている。
同プラットフォームでは、社員のスキルやパーソナリティを可視化するプロフィール「Beatrust People」、業務課題を迅速に解決するための社内専用Q&Aサイト「Beatrust Ask」、知識の共有とアーカイブに特化したシェアボード「Beatrust Share」、感謝や認め合いの文化を促進するメッセージツール「Beatrust Thanks」を提供。顧客の社員のエンゲージメント向上や情報共有を支援してきた。
今回は、特に大企業が抱える人材発掘の課題解決や、複雑なスキル情報を可視化。適切な人材マッチングの実現に向けて、新たに生成AIを活用した2つの機能「Beatrust Scout」と「Tag Extraction」を追加した。
Beatrust Scoutは、プロジェクト内容や必要な人材に関する自然文章を、生成AIが解析。社員のスキルや他者評価情報などの統合的人材情報をもとに最適な人材をリコメンドする。会社の標準となるスキルのリストである「スキルマスター」の作成も不要で、生成AIによる最適な人材マッチングを実現する。検索結果はCSV形式でダウンロードでき、他ツールと連携しながら人材選定を進めることが可能だ。
Tag Extractionは、人事評価などの人事データや社内のコミュニケーションツールなどから社員のスキルや経験を自動で抽出・可視化する。これらの機能により、企業内での人材を有効に活用できる。
原CEOは「今後も企業の人材戦略を支援する機能やツールの開発を続け、企業内のコラボレーションを強化し、組織全体の生産性向上を支援していきたい」と意気込む。
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