やりすぎやん、スシロー! 鶴瓶のCM“抹消”は危機管理的にアリかナシか?:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
週刊誌報道によって公式Webサイトから笑福亭鶴瓶さんの画像を削除したスシロー。なぜ同社はこのような対応を取ったのか。危機管理のプロから見た、今回の対応は……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「ええやん、スシロー。」と満面の笑みで運営会社(FOOD & LIFE COMPANIES)を持ち上げていた笑福亭鶴瓶さんが、無慈悲にサクッと切り捨てられるという衝撃の展開を受け、世間から「やりすぎやん、スシロー。」の声があふれている。
発端は1月25日、元タレント中居正広氏の「女性トラブル」の起点となったといわれる自宅BBQに、タレントのヒロミさんや鶴瓶さんが同席していたと『週刊文春 電子版』が報じたことだった。
といっても記事を読む限り、2人はその場にいただけで、「女性トラブル」はもちろん、中居氏と女性とのやりとりに何もかかわっていない。実際、1月28日にはヒロミさんが出演する情報番組で、「BBQに参加したのは事実だが、その場に被害女性がいたことも知らなかった」と説明した。
スキャンダル記事の箔(はく)を付けるため、本件とそれほど関係のないビッグネームを登場させて、世間の注目を引き付けるのは週刊誌の基本的なテクニックだ。今回もどうせそんな感じの「もらい事故」でしょ――。そんな同情論が広がる中で、世間がドン引きするような対応を取ったのがスシローである。
同社は2023年7月より、鶴瓶さんを「スシローのこだわりの語り部」というイメージキャラクターとして起用。公式Webサイト、テレビCMなどの広告はもちろん、店内のポスターやタブレットなど至るところであの人懐っこい笑顔を流していた。しかし、1月29日夕方に公式Webサイトから「抹消」したのだ。店舗にも鶴瓶さんの姿はない。
メディアの取材を受けたスシローは「お客さまからさまざまな声をいただいておりましたことを踏まえ総合的に判断し、対応しております」と回答した。
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