災害時にスマホで情報収集と安否確認をする方法 災害用伝言板からLINE、Googleまで(1/2 ページ)

» 2023年08月18日 06時00分 公開

 いつ何時発生するか分からない地震、津波、台風、豪雨、大雪などの自然災害。災害発生時には正確な情報収集、そして家族・知人との安否確認が重要になってきますが、こんなときにも普段皆さんが使っているスマートフォンが大いに役立ちます。

 この記事では気象庁や各省庁・地方公共団体の緊急速報を基に、各キャリアから配信される緊急速報メール、災害時に伝言でのやりとりができる災害用掲示板について、そして、NTT東日本・NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、LINE、Googleなど大手通信キャリア以外が提供している安否確認サービスについても解説していきます。

緊急速報メールの基本

 気象庁から出される「緊急地震速報」「津波警報」「特別警報」、そして各省庁や地方公共団体が発表する「災害・避難情報」は、キャリアが提供する「緊急速報メール」(NTTドコモのみ「緊急速報エリアメール」)にて、専用ブザー音を鳴らしながら対象エリア内の携帯電話宛に配信されます(2022年12月26日をもって気象および噴火に関する特別警報の緊急速報メール配信は終了し、地方公共団体からの配信に変更)。

 緊急速報メールが配信される携帯電話は、ある基地局が置かれているエリアで被害発生が予想されるとき、その基地局の電波を受信している端末です。MNOとMVNO関係なく受信でき、事前のメールアドレス登録は不要です。

 ただし、「家族が住んでいる他県の緊急速報メールを、自分が受信するようにあらかじめ設定しておいて、いざメールを受信したら家族に知らせて危険を回避させる」といった使い方はできません。このような使い方は、「Yahoo!防災」などのアプリとLINEを使えば可能になります。

災害時のスマホ 緊急速報メールの仕組み

 「けっこう大きな地震が発生したのに、緊急速報のメールが来なかった。何で?」と今まで思った方もいるかもしれませんが、緊急速報メールには配信されるにあたって、基準のようなものがあります。例えば緊急地震速報(警報)では「最大震度が5弱以上と予想され、震度4以上の地震発生を記録すると予想される地域」に対して配信されるので、この基準に満たない場合、緊急速報メールは配信されません。

 それ以外にもスマートフォンが機内モードになっている場合、SIMカードがスマートフォンに入っていない場合、端末の設定で緊急速報の通知をオフにしていた場合も緊急速報メールは受信されません。

災害用伝言ダイヤル(171)なら公衆電話からでも伝言が残せる

 災害発生時、家族・知人とは携帯電話の通話機能を使ったやりとりが思い浮かぶでしょう。しかし、被災地で携帯電話の発信をする人が多かったり、被災地以外の地域から被災地にいる人に対して、多くの方が発信をしようとしたりすると「ただいま電話が混み合っています」といったメッセージが流れるばかりで、一向につながらない時もあります。これは電話交換機や基地局内へのネットワーク負荷が集中してしまう輻輳(ふくそう)状態が発生し、通信会社各社が発信を規制しているためです。こうなると、音声通話を利用した連絡手段は取れません。

 こういったときの対策として、NTT東西、NTTコミュニケーションズが提供している「災害用伝言ダイヤル(171)」を利用する方法もあります。このシステムでは被災地にいる人が自分の携帯電話番号や自宅の固定電話の電話番号をキーとして、安否に関する伝言(1伝言あたり30秒以内)を音声で災害用伝言ダイヤルセンターに録音します。災害伝言ダイヤルが利用できる電話は、携帯電話、固定電話、公衆電話、および災害時にNTTが避難所に設置する災害時用公衆電話(特設公衆電話)と、あらゆる電話にあてはまります。

 一方、被災地以外の地域にいる人は災害用伝言ダイヤル(171)に電話をかけ、被災者がキーとして設定した電話番号と同じ電話番号を入力すると、被災者が録音した伝言を再生することができます。また、状況によっては被災地以外の地域にいる人からも被災者に向けて伝言を録音することも可能です(伝言の保存期間や蓄積件数は個々の災害状況によって決定)。

 このように災害用伝言ダイヤル(171)を利用するためには、被災者側が指定する電話番号がキーとなります。家族・知人との間で、お互い「どの電話番号をキーとして使用するか?」については事前に取り決めておきましょう。

災害時のスマホ 災害用伝言ダイヤルの仕組み

災害用伝言ダイヤル(171)のテキスト版が「災害用伝言板(web171)」「災害用伝言板」

 音声を使って伝言を登録するシステムが災害用伝言ダイヤル(171)ですが、テキストを使って伝言を登録するシステムがNTT東西が提供している「災害用伝言板(web171)」です。

 被災者側では、インターネットにつながっている携帯電話、スマートフォン、PC、タブレットから、自分の携帯電話番号や自宅の固定電話の電話番号をキーとして伝言を登録します。登録できる文字数は1伝言あたり全角で100文字までです。書き込まれた伝言は、被災者がキーとして設定した電話番号と同じ電話番号を第三者が入力することで確認できます。伝言の保存期間は最大6カ月、蓄積件数は最大20件ですが、個々の災害状況によって提供条件は変更されます。

 また、災害用伝言板(web171)は、災害時に伝言内容を更新したら、指定の宛先に自動的に通知が行く伝言板機能も備えています。登録できる連絡先はメールアドレス10件、電話番号1件。あらかじめ通知先を登録しておけば、いざ災害が発生した時もやりとりも円滑にできます。

 災害用伝言ダイヤル(171)と災害用伝言板(web171)は連携しており、電話からの伝言(音声)はスマートフォンやPCから「音声で確認」することができます。逆にスマートフォンやPCからの伝言はテキストデータから音声データに自動的に変換されるため、電話で聞くことも可能です。

災害時のスマホ 171とweb171の連携

 そして、災害用伝言板(web171)のキャリア版が「災害用伝言板」であり、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアが提供しています。

 ahamoなどのオンライン専用プランやY!mobileなどのサブブランドでは各社対応が分かれます。災害用伝言板に対応しているのは、ahamo(一部非対応の機能あり)、LINEMO(一部非対応の機能あり)、Y!mobileです。逆に対応していないのはpovo2.0、UQ mobileです。この場合はNTT東西の災害用伝言板(web171)を利用することになります。

災害時のスマホ
災害時のスマホ ドコモの「安否の確認」デモ画面

 災害用伝言板(web171)と各キャリアの災害用伝言板はシステム上連携されているため、一括で安否情報を確認することが可能です。例えば、被災地域以外に住んでいる人が、被災地域に住んでいる人の安否情報を調べるため、NTT東日本の災害用伝言板(web171)で被災地域に住んでいる人の電話番号を入力したとします。もしその電話番号がドコモの災害用伝言板に登録されていれば、その時点で「その電話番号にひも付いた伝言がドコモの災害用掲示板に登録されている」ということが判明します。

災害時のスマホ 「伝言の確認」デモ画面
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