ここまで述べてきた通り、現状では音声通話できる携帯電話には「090」「080」「070」で始まる番号が割り当てられています。これらのうち、「090」と「080」で始まる番号は全て割り当て済みで、「070」で始まる番号の未割り当て数は2024年9月時点で530万個となっています。
「まだ未割り当てが530万個あるから大丈夫なのでは?」という意見もあります。しかし、携帯電話は全体を見るといまだに“純増”を続けています。
音声通話に対応しないデータ通信(≒M2M通信)専用の携帯電話については、2017年から「020」で始まる11桁、2019年から「0200」で始まる14桁の番号を割り当てることで番号的な意味で“待避”できるようになりました……が、音声通話対応の携帯電話も、以下のような需要によって増加を続けています。
また、現在の電気通信番号制度では、自ら通信設備を持たない電気通信事業者(MVNO)も、希望をすれば音声通話対応の携帯電話番号の割り当てを受けることが可能です。
事業者への携帯電話番号の割り当ては、現状では6桁目を基準に行われています。つまり、番号の割り当ては10万個単位で行われるので、新たに割り当てられる枠の残りは「530万÷10万=53枠」しかありません。
こうして見ると、音声通話対応の携帯電話番号は思った以上に逼迫していることが分かります。
今回の電気通信番号計画で話題となっている「060」で始まる電気通信番号ですが、FMC用に割り当てられている「060-0」で始まる番号以外は音声通話対応の携帯電話番号として使うことを想定して利用を保留してきました(参考資料)。現在使っている「070」「080」「090」に近い番号帯で分かりやすいこと、FMC用番号帯以外はフルに“空いている”こと、何より桁数増加と比べると混乱や手間が少ないことで光が当たったものと思われます。
「060-1〜9」で始まる番号が使えるようになると、音声通話対応の携帯電話に使える携帯電話番号は2億7000万個から3億6000万個に拡大され、事業者に新規割り当てできる枠も53枠から143枠に拡大されます。
「060」を音声通話対応の携帯電話番号として使えるようにするためには、電気通信番号計画の一部を変更する必要があります。現在は、変更案に対するパブリックコメント(意見聴取)を受け付ける手続き中で、予定通りに進むと今後は以下のスケジュールで進むことになります。
つまり、制度上は12月中には「060-1〜9」で始まる携帯電話番号を利用できる見込みとなります。ただし、実際に事業者に割り当てられ、ユーザーの契約する携帯電話回線で使われるまでには一定の時間がかかるものと思われます。
個人的には、早く「060」で始まる電話番号を取得したいのですが、状況によっては年単位で「お預け」を食らう可能性もあります。果たしてどうなることやら……。
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