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NTT島田明社長が語る「ドコモ銀行で絶対に譲れない機能」――「帯に短し、たすきに長し」でお眼鏡にかなう銀行見当たらず石川温のスマホ業界新聞

携帯電話の大手事業者の多くが傘下(または兄弟会社)として銀行を保有している中、最大手のNTTドコモは銀行を保有していない。そのことについて、同社の親会社であるNTTの島田明社長は既設の銀行を買収する方向性が難航していることを示唆した。その理由は何なのだろうか。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 2月7日、NTTの2024年度第3四半期決算会見が行われた。NTTドコモの金融事業について、オンラインの記者から質問された島田明社長は「次の決算発表までには結論を出したい」とした。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年2月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 銀行参入について「いろいろと検討している。言葉は悪いかもしれないが、いずれも『帯に短し、たすきに長し』で、いらない機能はいらない。必要な機能だけ欲しいので、自分たちで銀行をつくることを含めて、次の決算までには結論を出したい。新しい時代のビジネスモデルにあった機能が欲しい。その機能をどう獲得するか。ふさわしくない機能を持つのは重荷になる」と回答した。

 ここですかさず自分が挙手をして「そんな回答をされたら突っ込まざるを得ない。NTTドコモにとって欲しい機能は何なのか」と質問。

 島田社長は「トランザクション機能だ。すでにマネックス証券を買収し、オリックスクレジットもグループ内にある。保険をOEMで提供している。それらをユーザーが円滑にマネージできる機能が必要。それ以外の機能はあまり欲しくない。基本的にはシンプルなトランザクションができることが重要。ただし、時間も考えなくてはいけないので、市場から獲得する、あるいは無理ならば自分たちで作っていく。いずれにしても、いつまでも考えているわけにもいかないので、一定期間で結論を出したい」とした。

 昨年、前田義晃社長にインタビューした際、銀行が必要な理由として「d払いを提供していることもあり、店舗への支払いをスムーズに、かつ手数料なしで実現したい。それには銀行が不可欠だ」と語っていた。

 確かに楽天銀行やPayPay銀行は、法人口座の開設が本当にスムーズに行えるのが特徴だ。ネット通販の店舗や小売店などに向けて、決済プラットフォームを提供する会社として、振り込みのタイミングや手数料の関係で法人口座を持つ銀行が是が非でも必要なのだ。

 今回のNTT決算を受けて、住信SBIネット銀行の株価が下がったという話がある。ここ数ヶ月、NTTドコモが住信SBIネット銀行を手中に収めるのではないかという報道が見事に裏切られたと受け取られたようだ。

 住信SBIネット銀行が売りに出ているのかもしれないが、NTTドコモとすれば「余計なものが多すぎる」という認識なのかもしれない。

 地銀など、すぐに買える銀行は山ほどありそうだが、リアル店舗網など余計なものがぶら下がっているのはNTTドコモとしては邪魔でしかない。

 「トランザクション機能だけ」というのは虫がよすぎるだろうが、あとは「どれだけ余計なものがついてこないか」という判断軸で、銀行買収話を進めていくのだろう。

© DWANGO Co., Ltd.

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