政府が6月中にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」の原案で、ロボットに関する新戦略を年度内に策定するとの方針を明記していることが3日、分かった。
複数の関係者によると、「AIや先端半導体が実装先となるロボットについて、2025年度中に実装拡大、競争力強化に関する戦略を策定する」との文言が記載された。ロボットに関し、同方針にこうした踏み込んだ表現が盛り込まれるのは初めてだという。
政府は前回の「ロボット戦略」を15年2月に決定し、次世代に向け、技術開発や規制制度改革を進めてきた。ただ、この10年でAIが浸透し、DX(デジタルトランスフォーメーション)が日進月歩で進むなど、状況に変化が生じていた。
この間に、かつてはロボット大国と呼ばれた日本は世界に出遅れ、19年には産業用ロボットのシェアが50%を下回った。この事態を、自民党のロボット議員連盟(会長=山際大志郎元経済再生相)は懸念。政府に対応を求めていた。
同議連は3日、国会内で林芳郎官房長官に直接、「ロボット産業の国際競争力を持つよう発展させ、司令塔機能を抜本的に強化し、新戦略を策定する」ことを求める提言書を手渡していた。
この中で、労働力人口の低下を打開するためにも、AI戦略や半導体・デジタル産業戦略をより効果的に進める必要性を説いた。
同提言では(1)官民一体で農業や病院・介護などでロボット市場を創出し、実装を加速させる、(2)ロボットの応用研究と技術開発を担う人材を創出・拡大する、(3)革新的なロボットを作る担い手として、スタートアップ(新興企業)など多様なプレイヤーの参画を促す環境を構築する、(4)ロボット分野のソフトウェア普及に向け、基盤モデルの開発などAIロボティクスを一層推進する、(5)最先端技術がロボットに実装される環境にやさしいシステムを構築する──といった5点を重視し、政府に意欲的に戦略目標を定めるよう求めていた。
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