衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由スピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2024年05月22日 11時03分 公開
[窪田順生ITmedia]

「輝かしい過去」は捨てられない

 冒頭で紹介した社史を見るといい。「日本でしかできない、世界最先端のモノづくり」と自分たちでうたっている。こんな「輝かしい過去」をそう簡単に捨て去ることができるだろうか。

 できるわけがない。そこでタイミングよく親会社の鴻海も米国市場に再挑戦せよと言ってくれる。既に中国や韓国のメーカーから大きく引き離されて、勝ち目がなくてもかつて世界を驚かした技術力こそあれば「液晶のシャープ」を復活できるはずだ――。そんな「勝機」が見えていたのかもしれない。

大ヒットした「C1シリーズ」(出典:シャープ100年史)
優れた環境性能を実現した“アクオス”Gシリーズ(出典:シャープ100年史)

 このような失敗から立ち直るには、呉社長が述べたように「変化に対応する」しかない。液晶パネルを生産停止後、SDPはインド有力企業に技術支援をしたり、AIデータセンター関連などへの事業転換を図ったりするという。鴻海もシャープの黒字化を支援するため、次世代通信やAIの分野で協業を深めていくことを表明している。

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