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人材流出が深刻な経営課題に 生成AIで防ぐ“特効薬”とは?「社内スカウト」時代

» 2025年01月29日 16時05分 公開
[小松恋ITmedia]

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 転職サイトを運営するビズリーチ(東京都渋谷区)は、社内スカウトで人材流出を防ぐ新サービス「社内版ビズリーチbyHRMOS」の提供を開始した。同社に蓄積されたデータと、生成AIを活用して高精度なマッチングを実現。社員が働き続けたくなる会社作りを目指す。

「社内版ビズリーチbyHRMOS」の提供開始(左からビジョナル社長の南壮一郎氏、ビズリーチ社長の酒井哲也氏、ビズリーチ執行役員 HRMOS事業部長の小出毅氏。以下プレスリリースより)

人材流出が深刻な経営課題に 防ぐ“特効薬”とは?

 雇用の見直しや労働力人口の減少を背景に、転職市場は活性化している。転職などの希望者は過去最高の1000万人を超え、企業の2024年度のキャリア採用の割合も過去最高の50.8%に達した。

 企業の人材獲得競争が激化する中、優秀な人材には社外からの魅力的なスカウトが次々と届き、キャリアの選択肢が広がっている。その結果、企業は「人材流出」という深刻な経営課題に直面している状況だ。ビズリーチの調査によると、約6割の企業が「直近1年で退職者が増えている」と回答している。

 現在は企業が働く人を選ぶ時代から、企業が働く人に選ばれる時代に突入している。企業は社員一人一人に寄り添い、成長の機会を提供することがますます重要になっている。企業が持続的に成長するためには、外部から優秀な人材を採用するだけでなく、社内の人材が「この会社で働き続けたい」と感じるような経営の意識改革と、人事環境の整備が求められる。

 人材流出を防ぐには、企業が社員のキャリア形成を支援し、社内での活躍機会を提供する「社内スカウト」活動が不可欠だ。まずは社員のスキル・経験などの「人材データ」と「社内ポジション」を、リアルタイムで正確に把握することが重要となる。社内公募などを通じて社内ポジションに社員が積極的に応募できる機会を増やし、社内ポジションからの直接的なアプローチも必要だ。ただ人材データや社内ポジションのマッチングに必要な情報を正確に整理し、継続的に更新するには手間も掛かる。

 同サービスは、ビズリーチが16年にわたり蓄積してきた転職市場のデータを学習した生成AI用いて、面倒な手作業なしで転職市場を基準とした「社内レジュメ」と「社内ポジション要件」を自動生成する。さらに今まで培った検索・マッチングの技術やノウハウを駆使することによって、高精度の人材検索やポジションに合う人材を提案するという。

 各機能の特徴としては、社員のキャリア情報やスキルを基に、生成AIを用いて数分で「社内レジュメ」を文章化する。入社前の職務経歴、入社後の異動歴、目標や実績に加えて、社員のキャリア概要や保有スキルをレジュメの形式で書き出す。ポジション名、職種、スキルを入力すると、「ポジション要件」を自動で提案。各企業独自のスキルや表現に偏らず、転職市場で求められる基準に合った内容が作成される。

転職市場基準の「社内レジュメ」と「社内ポジション要件」を自動生成する

 社内人材と社内ポジションのデータベースを構築することによって、データの維持や管理が容易になるという。ポジションの充足状況をリアルタイムでモニタリングでき、社員のスキルや最適な人材を迅速に配置できるようにした。

「社内人材」と「社内ポジション」のデータベースの構築・維持を実現

 人事や部門は「データ分析に強い人」「Aさんみたいな人」などどといった抽象的なワードによって、マッチングする社員を検索できる。

これまでになかった社内の人材マッチングを実現

 社員は公開されている社内ポジションに応募したい、または興味ありという意思表示ができる。従って通知からマッチングや社内スカウトにつなげられるのだ。

 ビスリーチ社長の酒哲也氏は「これからの時代は、個人に寄り添った機会提供がなければ、いくら採用を続けても優秀な人材は流出し続けてしまう。ビズリーチは、一人一人が生き生きと働き、企業価値を高める経営を支援し続ける」とコメントしている。

社内公募や社内でのダイレクトリクルーティングを活性化

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