Geminiを業務で使いこなす! Google Cloudが指南する「プロンプト入力」4つのポイントは?

» 2025年06月19日 06時00分 公開
[ITmedia]

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従業員の生成AI利用率90%超のリアル! いちばんやさしい生成AIのはじめかた

【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)

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【概要】ディップでは、小さく生成AI導入を開始。今では全従業員のうち、月間90%超が利用する月もあるほどに浸透、新たに「AIエージェント」事業も立ち上げました。自社の実体験をもとに、“しくじりポイント”も交えながら「生成AIのいちばんやさしいはじめ方」を紹介します。

 この記事は、Sansanが6月12〜13日に開催した「Eight EXPO 第4回 営業マーケDX 比較・導入展」内のセッション、「【GoogleのAI】Geminiを現場でどう使う? 体験型ワークショップ」を要約したものである。


 GoogleのAI「Gemini」に、ビジネスパーソンの熱い視線が注がれている。

 年次開発者会議「Google I/O 2025」では、Google検索でAIを使った回答を利用できる「AIモード」を含め、さまざまな新機能を発表。同社が強みを持つ「検索」以外でも、日々の業務を大きく変える新機能を公開し、注目を集めた。

Geminiの公式Webサイトより

 生成AI関連のニュースが相次ぐ一方、読者の皆さんの中で「日々の業務で生成AIを使いこなせている」という方はどれくらいいるだろうか。

 Sansanが6月12〜13日に開催した「Eight EXPO 第4回 営業マーケDX 比較・導入展」で、グーグル・クラウド・ジャパンが、「Gemini」の業務現場での活用法をレクチャーするワークショップを開催。Google Workspace スペシャリストの亀井新太郎さんが登壇し、プロンプトを入力する際に必ず押さえるべきポイントや、現場ですぐに使えるGeminiの機能を紹介した。

プロンプト入力 絶対押さえるべき4つの要素

 Geminiは法人向けクラウドサービスGoogle Workspaceの機能の一部である。法人向け、個人向けを提供しており、法人向けサービスがGeminiの基盤モデルの学習に使用されることはない。40言語以上の翻訳、企画のアイデア出し、コード生成、画像生成といった機能の他、GmailやGoogle Driveから必要な情報を検索することもできる。

 亀井さんは、Geminiに限らず、全ての生成AIでプロンプトを入力するときに必ず押さえるべき4つの要素があると語る。「役割」「背景」「タスク」「フォーマット」(出力の形式)──の4点だ。

 実際に4つの要素を入れ込み、以下のプロンプトを入力してみた。

プロンプト入力時のイメージ

役割: あなたは旅行プランナーです。

背景: 20代後半の夫婦に向けた「夏休みの過ごし方」をテーマに、

タスク: 1泊2日で楽しめる旅行企画を考えてください。

フォーマット: 「企画名」「行先」「旅行プランの詳細」「旅程」「旅行金額」を箇条書きでまとめてください。

 すると、Geminiは「ゆったり自然と美食に癒される週末、伊豆高原リトリート」という企画名で、詳細なプランを提案してきた。具体的なタイムスケジュールだけでなく、おすすめの観光スポットなども紹介された。

Geminiの回答をスクリーンショットしたもの(Gemini

 このように、プロンプト入力を工夫することでより良い回答を得られる。亀井さんは「AIは一言で何でもしてくれる魔法の杖ではありません。Geminiは多くの知識を持っていますが、指示をちゃんと出さなければ良い回答は得られない。相手を人間だと思って質問文を書いていただくとより良いでしょう」とコメントした。

プロンプト入力を効率化 「Gem」の使い方

 とはいえ、「プロンプトを毎度入力するのは面倒だ」という意見もある。そんなときにプロンプト入力を効率化できるのが「Gem」と呼ばれる機能だ。よく使うプロンプトを記憶させることができる。

 使い方はシンプルで、Geminiの左側のメニューから「Gemを表示」を選択→「Gemを作成」から必要情報を入力すれば、よく使用するプロンプトを記憶できる。

Gemの活用イメージ

名前: 営業メール作成AIくん

カスタム指示: あなたは営業パーソンで、下記の内容はお客さまとのMTG内容の議事録です。これに従って、次に送るメールの文章を書いてください。

使い方: MTGの議事録を貼り付ければ、記憶したプロンプトに従い営業メールが作成される。

 Gemで作成したAIは現状他の人に共有することはできない。今後共有範囲を拡大できないか検討していくという。

瞬時に専門的なレポートを作成 「Deep Research」の活用法

 AIの保有する知識だけでなく、さまざまなWebサイトを訪問し、異なる情報を統合しながら、出典付きの専門的なレポートを作成する「Deep Research」の活用法も紹介された。企業が新分野に進出する際や、顧客企業の業界情報を調べる際などに、効率的なレポート作成が可能になる。

 こちらも使い方はシンプルで、プロンプト入力時に「Deep Research」を選択し、調査の概要や出力形式などを指示。するとGeminiから調査レポートの方向性や構成案が提案されるため、確認し、問題なければ「リサーチを開始」を押す。すると、Geminiが詳細な調査レポートを数分で生成する。

 レポート完成後は、「思考プロセス」を押すと情報の参照元のWebサイトを確認できる。

 出力形式も用途によって変更できる。テキスト資料だけでなく、「インフォグラフィック」を選択すればグラフなどを用いたカラーの資料が生成されるし、「Webサイト」を作成することもできる。

「Deep Research」で生成した調査データを「インフォグラフィック」で出力した際のスクリーンショット(Gemini
「Deep Research」で生成した調査データを「Webサイト」で出力した際のスクリーンショット(Gemini

「NotebookLM」では、チャットボットやラジオ番組を作れる

 最後に、GoogleのAIノートアプリ「NotebookLM」の活用方法を紹介する。

 Deep Researchが外部の情報を調べられる一方、NotebookLMは利用者が指定したファイルの中の情報でのみ回答を生成できるため、ハルシネーションの心配がない。

 ファイルを指定し、読み込ませるだけで、チャットボットを生成できる。利用者が質問を入力すれば、元の資料の該当箇所へのリンクがついた状態で回答が出力される。

 例えば、情報システム部には日々、社内からPCやWeb環境などについてさまざまな問い合わせが寄せられる。社内のマニュアルを学習させた生成AIをNotebookLMで作成すれば、社員がAIに質問をすれば回答を得られるようになる。

 人事であれば「有給は何日ありますか?」「慶事休暇はどうやって申請するんですか?」というような質問に答えられる生成AIを作れるだろう。

 NotebookLMは「音声概要」機能も提供する。回答を音声で自動要約する機能で、利用者はラジオ感覚で回答を聞くことができるという。

 生成AIの各サービスで機能のアップデートがどんどん進んでいる一方、日々の業務で完全に使いこなせている、という方はまだ少ないかもしれない。亀井さんは「まずは触ってみてほしい」と、気軽に挑戦してみることの重要性を語る。

 「AIを使って誰でもチャットボットやラジオを作れる世界になりました。新しい技術に触ることはすごく楽しいので、ぜひいろいろと体感して、業務に生かす方法を考えてみてください」(亀井さん)

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