「iPhone 16e」は、6.1型ディスプレイにApple Intelligenceに対応するA18チップ、2倍撮影にも対応した4800万画素カメラ搭載や長時間動作に対応しながらも、一括価格では9万9800円(税込み、以下同)からと現行のiPhoneでは一番低価格なモデルだ。
この春商戦では、大手キャリアがMNP契約による上限4万4000円の割引と、2年後の返却がお得な下取りサポートを組み合わせることで 実質1000円前後、店頭では“実質0円”に近い金額で利用できるとアピールしており、乗り換えや初めてのスマートフォン向けのモデルとして注目を集めつつある。これまでの廉価モデルiPhone SE(第3世代)の6万2800円と比べると高額だが、現在の市場にはある程度適応できている。
iPhone 16eを実際に購入して利用したが、確かに高性能でバッテリーの持ちもいい。部分的にはiPhone 16 Pro並みの性能を有しており、初めてのiPhoneに適したモデルだ。一方で、既にiPhoneとApple製周辺機器を活用している人からすると評価が大きく落ちるモデルという印象も受けた。この評価が真っ二つに割れがちなiPhone 16eの実力について、iPhone 16 Proとも比較しつつ詳しく見ていこう。
デザインや周りの仕様は、iPhone 12〜14あたりまでのモデルを踏襲している。サイズは6.1型の有機EL(2532×1170ピクセル)で、上部の中央に顔認証Face IDのセンサーやインカメラを搭載する。明るさは通常の利用時だと最大輝度800ニトで、明るい屋外でも画面をしっかりと確認できる。リフレッシュレート60Hz表示で、色周りの表現は周囲と色温度などを合わせるTrue Toneに対応する。
ディスプレイの仕様を他のiPhone 16シリーズと比べると、普段使いでの差は少ない。Dynamic Islandも、便利さと表示の邪魔さで一長一短だ。一方で、こだわりのある人向けの16 Proの120Hz表示や、撮影時にやや便利な16 Proと16の屋外で最大輝度2000ニト表示といった機能はばっさりカットしている。
映像再生周りの仕様は広色域P3対応かつ輝度(HDR時)最大1200ニトで、高画質HDR動画も明るく鮮やかに再生できる。内蔵ステレオスピーカーはiPhone 16 ProやiPhone 16に近く、音が大きめで立体感もあり映画の音も楽しめた。スピーカーについては、昔のiPhone SEシリーズやiPhone 12以前とは別物だ。
背面はガラスで、つや消しの磨りガラス加工が施されている。カメラの回りの透明なガラスによるアクセントはない。ホワイトは他のiPhoneで見られる暖色寄りのホワイトと違い、寒色寄りのホワイトだ。実際に手にしてみると、このホワイトと表面のざらつき感からプリンタ用の上質紙のようだという感想だ。保護ケースで自分好みの色や触感へとカスタムした方が満足できるだろう。
背面のワイヤレス充電は、Qi(最大7.5W)にのみ対応する。iPhone 16と16 Proなどが対応する高速なMagSafe(最大25Wまたは15W)、Qi2(最大15W)充電には非対応で、マグネット対応の周辺機器も利用できない。ただし、市販のマグネットを搭載した保護ケースを装着すれば、多くの周辺機器やQi2充電器で低速なQi充電を利用できる。ただし、Apple純正のウォレットが持つ認識機能は反応しない。
側面や底面はiPhone 12〜14までと同様のデザインだ。サイズは71.5(幅)×145.7(高さ)×7.8(奥行き)mm、重量167gだ。ほぼiPhone 16と同じ大きさで3gだけ軽い。
以前のiPhoneにはあった左側面上部の消音スイッチは、16や15シリーズと同じくカスタム可能な「アクションボタン」に変わっている。一方で、iPhone 16と16 Proで新たに加わった「カメラコントロールボタン」は搭載していない。
AI機能の「Visual Intelligence」を側面のボタンから起動したい場合は、アクションボタンの設定を変更して使うことになる。ただ、現状のVisual Intelligenceは米国以外だと実質Google画像検索とChatGPTとの連携機能が中心で、そこまで重要な機能とはいえない。
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