Nothing Technologyの「Noting Phone(3a)」が、4月15日に日本で発売された。
Nothingは、OPPOが設立したOnePlusの創業メンバーの1人であるカール・ペイ氏が立ち上げたスタートアップ。当初はワイヤレスイヤフォンを手掛けていたが、2022年には初のスマホとなる「Nothing Phone(1)」を発売、初号機からいきなり日本市場への参入を果たした。その後、同社は縦にもラインアップを広げ、2024年には初のミッドレンジモデルとなる「Nothing Phone (2a)」を発売する。
Nothing Phone (2a)は、同社製品として初めておサイフケータイに対応し、話題を集めた。その後継機にあたるのが、15日に発売された「Nothing Phone (3a)」だ。同製品はQualcommのチップを採用して処理能力を底上げしただけでなく、カメラ機能を強化。さらに、AIを活用した新機能の「Essential Space」や、それをワンプッシュで呼び出せる「Essential Key」を搭載する。
初のおサイフケータイ対応だったNothing Phone (2a)に続き、Nothing Phone (3a)では、初めてキャリアの取り扱いもスタートした。パートナーに選ばれたのは、楽天モバイル。同社のショップ約100店舗で展示、販売する他、限定色のブルーも発売する。発売に先立ち、Nothing Phone (3a)を実際に試用することができた。その実力や端末から見えてきたNothingの狙いを解説していく。
型番が示す通り、Nothing Phone (3a)の基本的なデザインは2aを踏襲している。シリーズ全体の特徴である透明の背面パネルの内側にはLEDが搭載されており、音や着信などに合わせて光るが、これがカメラ周りに集約されている。背面全体を使ってLEDをちりばめた上位モデルとの違いといっていいだろう。一方で、背面素材は樹脂からガラスに変わっており、より硬質感が増している。
ディスプレイサイズは6.77型。2aの6.7型からわずかだが大型化しており、片手だとやや持ちづらい印象も受けた。ただし、そのトレードオフとして画面が大きく、映像の迫力は増す。一長一短あるため、どちらがいいとは一概にはいえないが、メインのスマホとしてヘビーに使いたい人には、大型のディスプレイを搭載していた方がいいだろう。
ディスプレイは最大3000ニトで、明るくて見やすい。リフレッシュレートも最大120Hzで、動きは滑らか。この価格帯のスマホとしては、操作感がいい。ソフトウェアをしっかり作り込んでいるためか、タッチ操作へのフィードバックが俊敏で、バイブのフィードバックも繊細。この価格帯のスマホだと、大味のバイブが搭載されていることもあるが、そのような心配は不要。ユーザーインタフェースにこだわるNothingの方針はしっかり反映されている。
右側面には、電源キー(サイドキー)に加え、新機能の1つであるEssential Keyが搭載されている。右側面に凸形状でまとめられているため、間違って画面を点灯させようとした際に間違って押してしまうことが多々あった点は要改善。どちらか一方をへこませるなど、触覚で区別できる工夫はほしかった。ただし、音量ボタンが左側面にあるため、ここと電源キーの押し間違えは少ない。
このEssential Keyは、カスタマイズなどには対応しておらず、現時点では新機能であるEssential Space専用のボタンになる。1回押すとすぐにスクリーンショットが記録され、メモを書くスペースが現れる。ここに何らかのメモを書くと、スクリーンショットと一緒にEssential Spaceに保存される。また、キーを長押しすると手書きのメモの代わりに録音を撮ることが可能だ。
物理キーとして独立しているため、スクリーンショットはどのスマホよりも撮りやすい。ここで取ったスクリーンショットは、Essential Spaceだけでなく、ギャラリーからも閲覧可能。Webを閲覧しているときや、残しておきたいメール、SNSの投稿などをサッと記録しておくのに便利なボタンといえる。ダブルクリックするとEssential Spaceが立ち上がり、記録した画像やメモ、音声などを確認できる。
もっとも、Essential Spaceは、これらの情報を単純に保存しておくためだけの場ではない。保存されたスクリーンショットやメモ、音声は、AIが解析し、自動で情報を整理してくれる。また、それらの情報に基づき、AIが取るべき行動をサジェストする。このような概要だけを聞くと非常に抽象的で、何ができるかが少々伝わりづらいかもしれないが、実際にEssential Spaceを使ってみると、想像していた以上に実用性の高い機能としてまとめられていることが分かる。
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