日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
小泉進次郎農林水産大臣がたたかれている。
「米が高い!」「一体いつになったら値下がりするんだ!」という国民の怒りが爆発していたので、大慌てで対応したら今度は「こんなに安いのは適正価格ではない!」「農家や米屋をつぶす気か!」「どうせ選挙対策だろ、汚い連中だ」などと、こき下ろされているのだ。
政治家とはそういうものなのでしょうがない部分があるが、ちょっと気の毒なのは身内からも「無能」扱いされていることだ。
岸田政権で農水大臣を務めた“先輩”である野村哲郎衆議院議員は地元の会合で、小泉大臣が「随意契約」を自民党農林部会に諮らずに決めたことを批判して、「ルールを覚えてもらわないといけない」と小バカにしたのだ。
ただ、このニュースを聞いて「典型的な老害だな」とイラッとしている方もいるはずだ。会社などでも、停滞した事態を打開しようと新しい取り組みを進めようとすると、よってたかってつぶしにかかるベテランや重鎮も多いからだ。
こういう人たちを筆者は「現状維持おじさん」と呼び、日本型組織の「変化できない」問題に大きな影響を与える「キーマン」だと思って注目している。
「現状維持おじさん」はその名の通り、既存のシステム、既得権をとにかくキープしたいベテラン・重鎮達だ。彼らは、これまで続いてきたルールを軽視されたり、秩序を乱されたりすることが大嫌いなのだ。
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