これは筆者もまったく同感だ。そのためには「反対のための反対」をしてくる「現状維持おじさん」と、「こうしたほうがもっとよくなる」と建設的な反対をしてくる「改革派おじさん」を見極めて、後者をうまく味方に付ける必要がある。
そう聞くと、「おじさんなんて、とりあえず若手がやることにあれこれ口出して反対するものなんだから見ただけで区別できないでしょ」と思うかもしれないが、「現状維持おじさん」を長いこと観察してきた立場から言わせていただくと、実は至極(しごく)簡単な“見極めポイント”がある。それは一言で言えば、こうだ。
とにかく権威に弱いので、理屈やデータではなく「権力者」や「大義」を持ち出して説き伏せようとする。
分かりやすいのは、冒頭で触れた野村議員だ。
鹿児島県農協中央会常務理事を経て政界入りし、自民党農林部会長を経て、岸田政権では農林水産大臣にもなった「ザ・農水族」なのだから、小泉大臣のやり方が気に入らないのであれば、なぜ農水族を通さないと物事を決めていけないのか、なぜコメの価格が高いままなのかという根拠やデータでしっかりと説明したうえで、「ということで、大臣経験では先輩の私がガツンと言ってやります」と苦言を呈すればいいだけだ。
しかし、野村議員はそういうことは言わない。森山裕自民党幹事長という「権力者」を用いて小泉大臣をディスっているのだ。
まず「森山先生は部会長もされたし、農政の自民党の政策決定のトップですが、相談に来ていないと思います」と暗に小泉大臣が「権力者」への敬意がないと無礼者だと指摘する。そして、「森山先生にちくりと言っていただかないと」とこれまた「権力者」をちらつかせて圧力をかけている。子どものころ、教室で何かささいなトラブルがあるたびに「あー、先生に言ってやろ!」と騒ぐ子どもがいたが、あれの大人版である。
皆さんの周囲にいる「現状維持おじさん」も、こんなふうに「権力者の代弁」をする形で、新しい取り組みや若手のプロジェクトをつぶしにかかっていないだろうか。
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